動物の歯を観察しよう!

今回は、動物の歯をじっくり観察してみましょう。
食性によって、動物の歯も大きく異なるんです。
今回は、現在はもうやっていませんが、以前このブログでも紹介した、国立科学博物館で行われていた「大哺乳類展2~みんなの生き残り作戦~」で撮影した写真を掲載します。

草食の動物たち

草食動物たちは、草をすりつぶすため、臼歯がかなり発達しています。
また、ネズミ目の動物は、ご存知のとおり、前歯が発達しています。

オオカンガルー(学名:Macropus giganteus)
前歯がかなり発達しています。それもそのはず、カンガルーは、前歯を武器として利用しているんです
カンガルーは闘争の時、キックボクシングをする事が有名ですが、仲間との戦いでも噛み付くことがあるらしいです。
つまりは、カンガルーの前歯は広い意味で言えば「」なんですね。

アメリカビーバー(学名:Castor canadensis)
さすがビーバー。前歯が大きい!ジャスティン・ビーバーもびっくりでしょう(笑)。
ビーバーは、この前歯を土木工事に使います。
ダムを作って、川の様子を一変させることもあります。
だから、ダムが決壊してしまったら…
大洪水になりかねないと、専門家は語っています。
でも、中には、切り倒した木の下敷きになってしまう、マヌケな個体もいるそう(笑)

カバ(学名:Hippopotamus amphibius)
カバの口は大きいから、上のほうしか写真に収まりませんでした(汗)が、それでもすごい牙!KABAちゃんもびっくりでしょう(笑)
カバは、意外と気の荒い動物で、アフリカではカバに襲われて亡くなる人も多いんだとか。
カバの大きな牙は、威嚇としての役割を果たしている事が多いんです。
あのあくびのように見えるしぐさも、威嚇なんですよ。
でも、時には牙をぶつけ合って、壮絶な争いを繰り広げる事もあります。

アフリカゾウ(学名:Loxodonta africana)
ゾウの上あごの写真です。臼のようになっているのが、歯です。
ゾウは、一生に5,6回も歯が生えかわるといわれています。といっても、磨り減って、最終的に抜けるだけです。
そして最後は、歯がなくなり、食べられなくなって、餓死してしまうというわけです。
と言う事は、
ゾウの寿命70年=5,6回生えかわる歯のもつ年数
なのかもしれません。
ところで、ゾウは武器にも歯を使っているって、知っていましたか?
その歯とは…
そう、です。
雌を取り合う争いのとき、ゾウはこの牙を使って熾烈な戦いを繰り広げます。
ここだけの話、この戦いはトーナメント式なんです。

植物食のサル類(Leaf Eater Monkeys)
上段左がフンボルトウーリーモンキー(学名: Lagothrix lagotricha)、上段右がシロテテナガザル(学名: Hylobates lar)、下段左がアビシニアコロブス(学名: Colobus guereza)、下段右がクロシロエリマキキツネザル(学名:Varecia variegate)となります。
特殊なのがアビシニアコロブスで、硬い木の皮やまだ熟れていない果実なんかも食べるそう。しかもアビシニアコロブスの胃は、2つから4つに分かれていて、牛やキリンと同じで、反芻を行います。

ジャイアントパンダ(学名: Ailuropoda melanoleuca)
下段の大きなあごが、ジャイアントパンダの顎です。
硬い竹を噛み砕くため、臼歯が大きくなっているのがわかりますか?
でも、時々、竹を食べるせいで、腹痛に悩まされていて、粘膜便も出るそう…
意外ですが、パンダはクマ科の動物なので、時々小動物も襲うといわれています。


肉食の動物たち

肉を食べる動物は、犬歯が発達しています。
これはもちろん、獲物となる動物を倒すためです。

ブチハイエナ(学名:Crocuta crocuta)
骨を噛み砕く事で有名なハイエナ、さすがです。両側の犬歯が大きくなっています。ハイエナは、実は狩りも上手で、本当のことを言えば、ライオンに獲物を取られないよう、早食いなんですって。
実はハイエナって、雌と雄の違いは体の大きさぐらいで、それ以外は何もかも同じ。しかも、雌にも局部の棒があるって、知っていました?(下ネタですみません、汗)

ライオン(学名:Panthera leo)
先ほどのハイエナより、牙がとてつもなく大きい!さすが、百獣の王。
狩りをするのは雌たちの仕事ですが、とってきた獲物を最初に食べるのは一家の長である雄。子供たちと雌は雄がある程度食べ終えてから食事をします。


昆虫食の動物たち

昆虫を食べる動物たちには、個性的な構造の動物が多いんです。
歯がなかったり、キチン質の殻を噛み砕くために植物食と同じで臼歯が大きかったり…いろいろです。

カモノハシ(学名:Ornithorhynchus anatinus)
実はカモノハシのくちばしは、ゴムの様に柔らかく、顎の骨はこうなっています。顎の内部は、筆者も特別展で初めて知りました。
カモノハシは狩りをするとき、水が目に入るのが嫌らしく、目を閉じています。その代わり、ゴムのように柔らかいくちばしで、獲物が出す電流を感じ取って捕まえるんです。
そうそう、赤ちゃんのときは、お母さんの汗からしみでるミルクを飲んでいるらしいです。
カモノハシは、もっとも原始的な哺乳類ですから、我々と違う点が多いんですね。

オオアリクイ(学名: Myrmecophaga tridactyla)
撮れたのは、先端の一部のみですが、歯がないのが大きなポイントです。
この細長い部分に、アリを舐め取るベロが収まっています。その長さ、なんと60cm!
シロアリの塚に着いたら、まずかぎ爪でシロアリ塚を壊します。
そして壊れたところの穴から、ベロを入れて、シロアリを舐めとってしまいます。
オオアリクイ、恐るべし!
だからって、歩き方はぎこちなくて、まるでムカデ競走みたいなんです。爪が折れたら大変ですもんね。


雑食の動物たち

サルやクマ、イノシシなんかは雑食動物。肉も植物も食べる動物。私たち人類も、もちろん雑食。サラダや野菜ジュースなんかは植物ですし、ステーキや焼肉、ケンタッキーなんかは肉ですものね。(なぜケンタッキーを選んだ!?って方は、気にしないでください、笑)

チンパンジー(学名: Pan troglodytes) 
類人猿の中でも唯一、雑食性なのがチンパンジー。ヒトに最も近縁で、頭がいいんです。
アリの巣に茎を差し込んで、アリを釣るという、高性能な狩りの方法を行います。
日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」の人気者、チンパンジーのパン君にいたっては、うどんを箸を使いながら食べるという、まさかの有様(笑) もう、人間じゃん!
いつか、チンパンジーが人間の道具を使って調理が出来る日が来るのかな?(笑)

ヒグマ(学名:Ursus arctos)
右がヒグマの歯です。
鮭をガブッとくわえるイメージのあるヒグマですが、実は雑食の動物で、植物を食べる割合のほうが多いんです。
奥歯もパンダよりは小さいけれど、発達しています。それに牙も、大きくなっています。

最後は、ちょっと閲覧注意の可能性のある食生活をしている動物です
食糧は、まさかの、

ナミチスイコウモリ(学名: Desmodus rotundus)
まず言います。撮影しにくかったほど小さい。(笑)
で、先のほうに切歯があります。そこで傷を作り、それから血を舐めてしまいます
「怖くないんか~いっ!」ってこけるのはまだ早いですよ。
そこから狂犬病を移される可能性が高いので、気をつけて!
とは言いつつ、生息地はメキシコからアルゼンチンあたり(笑)

いかがでしたか?驚きの詰まった、動物の歯。
また違った視点から、動物の食事方法を観察するのも面白いかもです。
今回撮影をした国立科学博物館の皆様には、大変有難く思っております。
次回はどんな動物が登場するのか、楽しみにしていてくださいね!

コメント

  1. SOTAさん、こんばんは!

    今回の動物の歯のテーマ、とても良かったですよ。

    歯を見ただけでどの動物の歯か判るようになれたらスゴイですよね。

    ライオンの歯は、なんとなくそうかな?と思いましたが、他のはサッパリ判りませんでした。

    また斬新なレポートを楽しみにしていますね。

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    返信
    1. >まったくんさん
      遅くなりました。
      動物の歯を見るだけで食生活がわかるとは、夢のある話ですよね。
      ちなみに、コウモリ1500種類のうち、血をなめて生きているコウモリは3種類程度。日本にいるアブラコウモリなどは、昆虫を食べて生きているんです。意外ですね。

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  2. 補足。
    チンパンジーは、アカコロブスというサルを狩ることもあるそうです。チンパンジーは、大人になったら凶暴なんですね。
    あと、志村けんさん、ご冥福をお祈りいたします。

    返信削除

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